葬のマナーと作法 通夜(仏式の場合)

通夜(仏式の場合)

通夜と半通夜

通夜の風習は平安時代からあり、各地に通夜堂がありました。夜通し神仏に祈願しつつ、遺族が遺体を守り、実際に添い寝することもありました。通夜のことを「夜伽」「添い寝」とも言いました。「仏まぶり」「めざまし」という呼び名もあります。
かつては、故人の遺体を守り、故人と親しかった人が、故人を偲んでしんみりと思い出話をして、一夜寝ずの番をしたのものです。最近は、文字どおり通夜はまれになり、ほとんどが「半通夜」になりました。
午後六時〜七時から午後九時〜午後十時までと、通夜を限定するので、「半通夜」と呼ばれます。
ただし、弔問客が引き上げたあと、遺族や親族が交代して夜通し遺体に付き添い、線香や灯明を絶やさないようにします。

門口、玄関を開け放つ

弔問客が自由に出入りできるように、門はもちろん玄関口を開け放って、明るく照らすのが風習で、たとえ冬の寒い日であっても開けておき、弔問客を迎えます。
喪主、遺族は、通夜からは正式の喪服を着用します。また僧侶の控室を確保します。

通夜の席次

本来、通夜は遺族、親しい人だけの風習があり、正式な儀式ではありませんが、一般的には通夜の席次がなんとなく決められています。
祭壇の正面に僧侶が座り、祭壇に向かって右側が喪主、遺族、親族などの身内側の席です。左側が世話役代表、知人、友人など故人とかかわりの深い方々が座ります。一般の弔問客は正面の後方に座ります。しかし、部屋の都合によって臨機応変に席の決め方も変わります。
身内側の席次は血縁の濃い順で、喪主(故人の配偶者)、子供とその配偶者、故人の両親、配偶者の両親、故人の孫、兄弟姉妹、おじおば、その他の親族となります。
左側の席には、世話役代表(葬儀委員長)、恩師、先輩など目上の方、友人、知人、会社関係者の順ですが、会社関係者を重視して、上席にすることもあります。
一般弔問客の席は、年齢、地位も考慮することがあしますが、先着順でも構いません。

通夜の席次

通夜の進め方

式次第の進行は下記のとおりです。

一.一同着席
喪主、遺族は弔問客の出迎えをせず、着席したまま弔問を受けることに専念します。各人が所定の席に座ります。

二.僧侶入堂
控室で着替えた僧侶が、世話役の案内で入堂します。参列者は低頭にて出迎えます。時には僧侶が簡単な挨拶をすることもあります。

三.読経と焼香
読経は三、四十分ぐらいで、読経の間参列者は頭を垂れて故人の冥福を祈ります。読経後、焼香が始まります。弔問客が多いときは、読経の途中で僧が焼香の指示を出すこともあります。まず、喪主から席次の順に祭壇の前に進み出て焼香します。喪主、遺族は、左手に数珠をかけ、祭壇の前で僧侶に一礼し、正面に進んで焼香、終わりましたら弔問客に向かって一礼をして席に戻ります。
香炉による焼香が一般的ですが、香炉を参列者の間に順次回す「回し焼香」もあります。

四.僧侶退席
読経が終わりました、僧侶は退席しますが、短い法話、説教をすることもあります。以上で通夜は終了します。

喪主の挨拶

通夜が終わりますと「通夜ぶるまい」といって弔問客への酒食の接待があります。
喪主は、遺族、親族を代表して、参列者に挨拶をします。喪主の代わりに、遺族、親族の代表や世話役代表(葬儀委員長)が挨拶する場合もあります。挨拶は、通夜終了後の直後と通夜ぶるまいのあとの場合があります。
内容的には、弔問客へのお礼、生前の厚情へのお礼、そして通夜のあとなら、通夜ぶるまいの案内、通夜ぶるまいのあとなら、葬儀の案内を付け加えます。

実例一.(通夜の直後)喪主の場合

本日はお忙しい中を、お運びいただきまして、誠にありがとうございます。皆様方の温かいお志、充分に頂戴いたしました。故人も喜んでいることと存じます。
生前、皆様方には、 ご厚情を賜りましたことを故人になりかわりまして、この席をお借りしてお礼申し上げます。
ささやかではありますが、別室にて食事の用意してあります。故人への供養とおぼしめして、故人の思い出話などお聞かせいただきとう存じます。

実例二.(通夜ぶるまいのあと)世話役代表の場合

皆様と故人のありし日を偲んで語り合っておりますうちに、いつしか九時を回ってしまいました。ご遠方の方もいらっしゃいますので、これで通夜をお開きにさせていただきます。
お集まりいただきました皆様方に、喪主になりかわりまして、心からお礼申し上げます。
故人は、最期まで家族の行く末を心配しながら旅立っていったそうでございます。皆様方には、今後ともよろしくご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
葬儀式は、明日午前十時から、当所で行ないます。もしお時間が許すようでございましたら、ご会葬いただきたいと存じます。
夜もふけて参りました、どうぞ、お気をつけてお帰りくださいませ。ありがとうございました。

通夜ぶるまい

通夜のあと、別室で弔問客に食事のもてなしをします。「身洗い酒」と称して、酒も用意します。食事は精進料理がしきたりですが、最近はこだわらずに、寿司、仕出し料理をとるのが普通になりました。盛大にする必要はなく、簡略にしても失礼にあたりません。
通夜ぶるまいは、酒が入りますましのでだらだらとしがちですが、九時〜十時に切り上げます。
頃合いを見はらかって、世話役がしめくくるとして挨拶するのがいいでしょう。

お悔やみの受け方

喪主にとって、弔問客のお悔やみの言葉を受けるのが、通夜での役割の一つですが、「ご多忙のところ、さっそくのお悔やみ、誠にありがとうございました」などと、静かに簡潔に受け応えます。

僧侶の接待

僧侶が到着しましたら、世話役が控室に案内し、さっそく喪主、世話役代表が挨拶に出向き、茶菓のもてなしをします。僧侶の着替えが終わりましたら、世話役が僧侶を通夜の席に案内します。
通夜が終わりましたら、僧侶が着替えたあと、通夜ぶるまいの部屋に案内をして酒食の接待で労をねぎらいます。帰りには、謝礼のほかに「御車代」を渡します。通夜ぶるまいを遠慮されましたら、謝礼、車代のほか一回の食事代程度の「御膳料」を包みます。

弔問客を引き止めない

弔問客は、多忙の中を取るもの取りあえず駆けつけてくれたのですから、帰りやすいように、きっかけをつくります。
読経が終わったところで、世話役が、「お忙しいところをありがとうございました。別室でおもてなしの準備もしてございますが、明日のお勤めのこともありますので、どうぞご自由にお引取りください」と弔問客が帰りやすいように声をかける配慮もあります。
弔問客を決して引き止めてもいけません。酒や茶菓を無理にすすめてはいけません。

手伝いへの方への食事

弔問客が帰って、後片付けが終わりましたら、お手伝いの方に丁重に挨拶して、寿司、軽食、酒などを用意します。この日の謝礼を渡すか、葬儀が終わってから渡すかは、世話役代表、会計係とあらかじめ相談しておきます。

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